杜の舟型録帳/木工芸・童話・小説

出土研智物語13・記憶の束
出土研智物語・13
記憶の束

『荒れますなあ。』
大陸からの強い寒気が流れ込み
九州でさえ山間部は吹雪いている。
003_201801231016087be.jpg
それでも日中の雪だから積雪は靴が埋もる程度で
スリップしながらも
風の坂道を宅配便は上ってくる。
001_20180124164933e7e.jpg
『来ましたね、ヒバ材。こんな雪の日に来るなんざあ
実に良いですなあ。』ひょっこり現れた出土研智氏は
荷解きの手元に鼻先を突っ込み犬のように木の香を嗅ぐ。
ヒバ材の香りは好き嫌いもあろうが「淡く黄み掛かった
材の色に、春の暖かな陽射しを感じ、甘く冴やけき香は
命育む雪解けの雫のホッテリとしたかほり。」と写しみる。
木の香りや色を記憶する際は、ワインと同じに
景色や音や光、またはそれらの
現象が発する
オノマトペなどで例えて覚えると、何十年経っても
脳の深い抽斗の底からでも瞬時に検索できるから面白い。
『いやいや、まだ俊々としたフルーティーさが勝って
晩秋の霙のように青い
冷たさが鼻腔を擽りますなあ。』
まあ、そんな感じで材の特徴や乾燥の具合など
五感で記憶して、シナプスの束を補強しているのである。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆IDESUNAKENDIMONOGATARI☆☆☆☆☆☆☆☆☆
虎落笛出土研智物語▶14へ

にほんブログ村 ハンドメイドブログ 木工へにほんブログ村 写真ブログへにほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ


この記事へのコメント
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

・morinofune・

カテゴリ
最新記事
リンク
来場者数