杜の舟型録帳/木工芸・童話・小説

出土研智物語4・盛土問題
いつの間にか陽だまり菜園奥の空き地に
直径二尺ばかり、高さが五、六寸の
こんもりとした盛土が、もこもこと出現し
多分、猪の仕業であろうと放っておいたが
ちょっと盛土が増えた気がして寒風の中
わざわざ覗きに行ってみた。

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はて、猪の鼻面で掘った様子もなく
ただ、こんもりと土が盛り上がっているだけ。
『いいですなあ。モグラの土饅頭です。』
唐突に現れる見知らぬ人に会うのも久し振りであるが
慣れてしまうと気にならなくなるものである。
「こんな大きなモグラがいるんですか。」
『あります。モグラは土竜と充てるくらいですから
多分、三寸ばかりの大きいのもおりましょう。』

「まさか、そんな大きなモグラが。」
そんな眉唾な話しを信じてはいないけれども
恐るおそる、土饅頭を棒で突いて中を確認してみるが
空洞らしきものにも行きあたらず、ただの
土のようである。
『そうそう最近「盛土」と書いて「もりつち」と呼ばず
「もりど」などと湯桶読みが流行りましたが
あれは読み方で何だかケムに巻いてるようで
いけませんなあ。・・・いやいやイケナイと言っても
善し悪しを言っているのではありませんがね。』
見知らぬ人はその盛土を
ポコンポコンと飛び渡るように
踏み付けながら『また、お会いしましょう。』と言い残して
杜の中に消えていった。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆IDESUNAKENDIMONOGATARI☆☆☆☆☆☆☆☆☆
虎落笛出土研智物語5・ドリーネの正体

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土竜塚【もぐらづか】
この盛土の正体は、モグラ塚と呼ばれるもので
モグラがトンネルを掘る際に、
前足で押してトンネル内を運び
地表に続くトンネルから押し上げて捨てられたものである。

トンネル内には巣の他に
食物貯蔵庫、休み場など
網の目状に広がっていて、その補修や拡張によって
掘り出された土がモグラ塚となって地表に現れる。

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0000morinof00000000000 福岡県筑豊の小高い丘の上に棲息工房「杜の舟」を生業としながら小説・児童文学などを執筆

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