杜の舟型録帳/木工芸・童話・小説

通り雨に
新聞の天気欄では晴れのち曇りの予報だったのに
午後には黒い雲が増殖しながら青空を侵食し
日蝕された空は鉛の陰を落とした。
雨粒を背負った車が坂を上がってきて間もなく
突然、大粒の雨が降り始めたが
どうやら通り雨に追われながら走って来たらしい。
001_2016072515450802d.jpg
勢う雨に池の水面が騒ぎ立てるのを
覗くでもなしに目を向ければ、紅い花が浮いていて
五年前に植え、一度も咲かずにいた紅睡蓮だと気付く。
一年、二年は期待して待っていたけれど
三年目には期待というより植えたことさえ忘れていて
新たに買い足す程の興味すら失せていた。
002_20160725154724019.jpg
こうして忘れたころに咲かれると
また毎年、期待したくなるぢゃあないか、と
通り雨を遣り過しながらレンズを向けた。
先ほど、上がってきた車は隣の蒼林窯に
用件で来られたYさんで、帰りしなに顔を出され
ほんのひと時、時雨れて通り雨のように去っていった。

にほんブログ村 ハンドメイドブログ 木工へにほんブログ村 写真ブログへにほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ
この記事へのコメント
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

プロフィール写真
0000morinof00000000000 福岡県筑豊の小高い丘の上に棲息工房「杜の舟」を生業としながら小説・児童文学などを執筆

カテゴリ
最新記事
リンク
来場者数