杜の舟型録帳/木工芸・童話・小説

天丼、串カツのえびるす
あれは2年前の7月14日のことである。
飯塚市内の空き店舗を使って起業するのだという
若者が連れ立ってやってきた。
聞けば『パスタとエビを食わせる店で、食器に拘って
箸やスプーン・フォークなど各20点ほど格安で揃えたい。』
というストレートな話しである。
客単価は700円くらいのものを中心に考えていて
高級な店を狙っているのではないらしいが
かといって中級とか低級というのでもあるまいから
しいて掲げるなら「俗級レストラン」とでも言うのだろう。
店の概要と彼の懐具合を鑑み8月末のオープンなら
なんとか納期との折り合いもつきそうだから
その法外な申し出を引き受けることにした。
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ちなみに、つけ麺パスタの店だというから
お箸は麺類が滑りにくい「麺恋箸」にした。
『同じような条件で器類も欲しい。』というから
蒼林窯氏を紹介したら、話しがとんとん拍子で進んで
『まずは今月中に試作品をやりましょう。』となって
決まれば100点ほどの器類を引き受けることになるようだ。
そんな話しの中でも一番興味のあったのは
店名の「えびるす」である。
妙にくるくるした平仮名文字ばかりが羅列され
それから連想される言葉を幾つか重ねて見た。
大分の銘菓「ざびえる」商売繁盛の「えびす」
それから「エビスビール」どれも高級なものを
連想させるから悪くない名前である。
店名などの造語は時として、まったく別の職種に
組み込まれたり、不快なものを連想させることもある。
また、近似した言葉が多いとPCの検索などで
なかなか探し当てられないことにもなる。
語意を訊ねてみると『エビとパスタを食べさせる店だから
その言葉を入れたけれど、エビとかパスタでは
PCを検索してもなかなか出てこないので
エルビスをもじって、えびるすにしたんです。』
エルビスとエビに何の因果関係があるのかは
見当がつかないが、いかしたモミアゲを
エビの尻尾にでも見立て、だらだらと派手な
ステージ衣装をパスタ麺とでも思ったのだろう。
まあ、そんなエルビスプレスリーへの妄想は横に置いて
なるほど、エビを食わせる店なら「えびるす」の
エビの尻尾みたいに妙にくるくるとした
平仮名文字にしたのは思惑ありげで面白い。
もし漢字を当てていたら海老を食わせる店なのに
「海老留守」になってしまうが、どこぞの有名な
タコの入っていないタコ焼き屋のようで
これもウイットが効いて良かろう。
しかし、夢を語る若者の曇りのない目は良い。
その夢に関わらせてもらうことが
明日への創作の力になるのだから。

それから話しが二転三転しながら
起業予算の都合で「双樹」タイプの箸が15膳と
ハートの箸置き15個の注文に治まったのだけれど

ちょっとした行き違いがあり連絡を取ろうとした時には
その開店したはずの店は閉まっていた。
この頃になって新飯塚駅にほど近いところで
新しく店を開けたと新聞で知ったのだけれど
忙しさにかまけて合わず仕舞いでいたが
昨日、蒼林窯氏がふらりと「えびるす」を訪ね
嬉しいことに縁を戻してくれることになり
「えびるす」のオーナーが本日ご来店。
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とうの昔に注文の箸は出来あがっていて
目出度く納品は出来たのだけれど
今更請求も決まりが悪いから
「えびるすへの前払い替わりにして、今度知人など
大勢連れて行くから振舞ってもらおう。」と
格好良く見栄を切ってみたが、そんなに大勢
知人などいないから、またまた蒼林窯氏当たりを
引連れていくしか手はなさそうである。
因みに昼は天丼、夜は串カツがお勧めらしいが
せっかくなら串カツに生ビールがいいなあ。と
予定も立たないうちから喉が鳴る。

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0000morinof00000000000 福岡県筑豊の小高い丘の上に棲息工房「杜の舟」を生業としながら小説・児童文学などを執筆

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