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杜の舟型録帳/木工芸・童話・小説

身心衰弱中に読む本は
風邪で寝込んでいる時に読む本は
少し加減をして選ばないと悪い夢を見る。
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前回選んだ中の『猫町』や『冥途』なんていうのは
身心衰弱中には控えた方が賢明であった。
つまり、過去形だから読んでしまったのだけれど・・・。
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少し厳選して引っ張り出してみたけれども
又その中に夏目漱石の怪しげな『夢十夜』が含まれている。

昨夜の夢は酷かった
喉を痛めないようにオイルヒーターを寝室に入れたが
時折ぼこぼこっと油の湧く音がして耳触りになった。
これならスチームのシュウシュウの方がまだ、ましだと言うと
『あいつらは人間の汗と涙で動いているんだ。』と
オイルヒーターが喋りかけた。ギョッとなって目をやると
そいつは白い肋骨の形になってベッドの脇に居座っている。
『それからすると、俺は人間の脂を喰って動いているから
錆の心配もないから長い付き合いだ。スチームなんて
原子炉の釜と同じで、何時も高圧蒸気ではち切れそうだが
止めれば凍え縮むから、あいつらは体力無くして死滅したろう。』
白い肋骨の形をしたやつは『スチームを見に行くか。』といって
返事も聞かずグアッと肋骨を拡げると鷲掴みに寝床ごと掴み上げた。
かと思うと、いきなり灰青の縞のあるマットが敷かれた鉄の寝台に
ボムと放り出されていた。くるくると辺りを見回せば、錆びた鉄枠の
窓のパテもあちこち欠落していて、随分古い何処かの病室に見える。
その寒々とした窓辺の下にうずくまるようにして、銀灰色の
スチームがカカンカンカンと音を立てながらもバルブの隙間からは
如何にも退屈だと言わんばかりに溜息のような蒸気を漏らしている。
「もういいから返してくれないか。」と叫んだら、今度は
スチームヒーターの長い胴がグネリと動き、這い寄ってきた。
そいつも肋のような腕で掴まえると、窓ガラスを破って外に飛び出し
あちこち蒸気が噴き出て、白くけぶる病院の周りを幾重にも
廻りながら、頭の無い龍にでも掴まれたように天に昇って行った。
その間じゅう、昔の病院は蒸気だらけで石炭列車の機関庫か
別府の鉄輪温泉みたいだな、などとのん気なことを考えていた。
あまり楽しい夢ではなかったが退屈はしないで済んでいる。
今夜あたりの長い夜も『夢十夜』の効用で脂汗をかきながら
うなされることにんなるやもしれない。
肋骨◀夢病譚毒の花

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この記事へのコメント
1641. morinof   URL  2012/02/18 16:04 [ 編集 ]
布団の中で、あれこれ態勢を変えながら
本を読み続けていましたが、もう頭の中は
退屈と焦燥感と妄想だらけです。
これに追手を掛けたように、スギ花粉症も
現れ、鼻づまりの酸欠状態。
こうなると本を読んでも頭に入らなくなります。
でも、あれらの本のお陰で変な悪夢にだけは
しばらく、事欠かなくて済みそうです。
1638. 彼岸花さん   URL  2012/02/16 09:33 [ 編集 ]
いかがですか。
ふふふ。随分たくさんお読みになりましたね。
熱があって頭がぼうっとしているとき、どんなのを私ならよんで
みたいかなあと考えてみました。漫画かな(笑)。質のいい漫画。杉浦日向子さんとか。
お布団に入って、手を出さないですむように、というと、
小さな本ですかね。文庫本ですね。
あらっ!ということは、morinofさん、お布団から腕を出して、
あおむけになって読んでらしたのでは?
いけませんよ。腕を出していてはおからだが冷えてしまいます。^^
内田百は確かにつらいかも。それでなくても熱に浮かされているとき、
夢の世界に引きずり込まれそうですものね。『夢十夜』もそうですね。
それで、おかしな面白い夢ご覧になったでしょうか。
妖精の本などはいいですねえ。^^
宮沢賢治もいいですねえ。
そうそう。私なら、童話たくさん持ち込むかな。小川未明とか、
イギリスの名作とか。で、少女の夢にひっこむ・・・

お大事に~。お返事はいいですよ~。

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