杜の舟型録帳/木工芸・童話・小説

野良犬JONES・4 月に唄えば
野良犬ジョーンズ
4・月に唄えば

『負け犬の遠吠え』
月に向かって唄えば
みんなそう言いたがる。

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今日も一日見知らぬ街を
明日は樅の黒い森抜け
まだ見ぬ村へ
雨が降ったら流されて
風が吹いたら飛ばされる。

負け犬なんて言わせない
気まま暮らしの野良犬さ。
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場末の酒場じゃ相変わらずのスモーキージャズ
それに合わせてスモーキーソング
やけに今夜は煙が目に染みる。

★★★★★★★★★NORAJONES★★★★★★★★★★
野良犬JONES野良犬ジョーンズ▶5・へ続く
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野良犬JONES・3
野良犬ジョーンズ
3・自由の臭い

自由を求めていた訳ではないが
掴みどころのない自由ってやつが知りたくなって
街から街へ路地から路地へと渡り歩くうち
モリンと暮らした杜の匂いも忘れちまった。
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自由の臭いが染みついた俺のこと、誰か呼んだかい
気まぐれなんかで声をかけないでくれ
つい、新しい塒なんか期待してしまうじゃないか。
餌なんてくれたら当てにするようになるから
放っておいてくれ
俺は
自由を手に入れた野良犬
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塒も餌も自分で手に入れるしかない
自分の命さえ唯ひとりで守らなきゃならない
それが自由ってやつさ。
★★★★★★★★★NORAJONES★★★★★★★★★★
野良犬JONES野良犬ジョーンズ4・月に唄えば

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野良犬JONES・塒
野良犬ジョーンズ
2・塒

夕飯には有り付けなかったけれど
塒なら何処にだってあるさ
安全な場所さえ確保できれば天国だ。
今夜はスモーキーなジャズを聴きながら
腹を鳴らして夢を見る。
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モリンといるころは
腹を鳴らすこともなく
何の不自由も不満もなく
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ただ小さなちいさな小屋の中で
外の世界に憧れていた。
★★★★★★★★★NORAJONES★★★★★★★★★★
野良犬JONES野良犬ジョーンズ3・自由の臭い

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野良犬JONES
野良犬ジョーンズ
1・憧れ
俺の名はジョーンズ
生まれた時から野良だった訳じゃあない
でもインディーみたいに冒険心は強くはないし
格好も良くはないかもしれない。
ジョーンズはモリンと
暮らしていたころの名前で
今でも気に入っているんだ。
モリンってのは山暮らしの偏屈な木工屋で
これまで上手くやってはいたんだよ。

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憧れてはいたけれど欲しかった訳じゃない自由
ある日、使い草臥れた赤革の首輪がぷっつり切れて
突然憧れていた自由が手に入ったものだから
当てもなく、ここまで歩いて来ただけさ。
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見知らぬ街角の夕暮れ時
小さな酒場から心に染み入るような
スモーキーなジャズの歌声が聴こえてくる。
いま考えていることは
自由っていったい何だ?ってことかな・・・
★★★★★★★★★NORAJONES★★★★★★★★★★
野良犬JONES◀野良犬ジョーンズ2・塒(ねぐら)

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来年は戌年だからと、犬を作る気になったわけではなく
「ラヂ
からスモーキーなジャズの歌声が聴こえて
ふっとボロボロに痩せた野良犬が作りたくなった。」
そんな犯罪的臭いのする動機から鑿を取ったまでである。
こんな痩せてぼろぼろの干支が100匹ばかり並んだら
さぞかし壮観だろうと思わないでもないが
真夜中の作業場で、こいつらに取り囲まれて
作業を続ける勇気がない・・・

南国奇譚4・半世紀の彼方から
南国奇譚・4
半世紀の彼方から

展示会最終日の片づけを終えて
都城駅のそばにあるスーパーに夕食の買い出し。
明日は早くに立つ予定だから今夜のうちに
土産物など買っておこうと地元菓子など物色していた時に
何とはなしのひとつの和菓子に目が留まったとたん
半世紀ばかり持っていた記憶の謎が一気に解消し
亡き父への懐かしさと幸福感のようなものが胸を満たした。

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たぶん小学校の低学年の頃であったろう
クリスマスのプレゼントに、寄りによってサンタクロースは
鶯餅なぞを枕元に置いて帰るのである。
しかもそれは、まろまろの普通の形ではなく
中高く摘み上げたような妙な按配に歪になっていた。
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そいつが大よそ半世紀余り経って目の前に現れたのである
勢ぞろいして整然と収まっているシールには
弥五郎の里「花つまみ」とある。

父の郷である山之口の伝説では弥五郎は大男で
村に困ったことがあれば何時でも手助けをして
有難がられてはいたけれど
時として悪戯をして村人を困らせることもあり
そんな時には『弥五郎どんの鼻つまみ。』と囃し立てた聞いた。
弥五郎は団子っ鼻であったから、それを模して
饅頭や団子をつまみ上げた田舎菓子が生まれたのであろう。
父は終戦で抑留先のロシアから引き揚げて来たときに
一度だけ宮崎県の山之口に戻ったが帰る家も身寄りもなく
戦後復興に沸く筑豊の炭鉱で働くことになり
二度と帰ることもないままに他界してしまったが
クリスマスプレゼントの鶯餅を子供のころの記憶の懐かしさに
ついつい、つまみあげて見たくなったのであろう。
もう父が亡くなって45年になるが「弥五郎どんの鼻つまみ」に
出会ったお陰で若くお道化た父を近くに感じ
『じゃっど、やっと解いよったか、そら弥五郎の団子っ鼻じゃ。』と
半世紀の彼方から、声が聞こえたような気がした。
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湯場童南国奇譚▶5

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0000morinof00000000000 福岡県筑豊の小高い丘の上に棲息工房「杜の舟」を生業としながら小説・児童文学などを執筆

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