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杜の舟型録帳/木工芸・童話・小説

木偶
「聖夜に」のアートフレームが出来上がり
無事に納品が出来たのでやっと昼飯に有り付け
椅子に寄り掛かっていたらウトウトうたた寝。
そう暢気にはしていられないのだけれど
先日M女史との会話の中で湧いた、百鬼夜行の
話しが気になって、脳内リセットのために
足元に転がっていた木片で寄り道
小細工をする。
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木偶【でく】
土偶(どぐう)なら、何だかミステリアスだけれど
木偶は物の役に立たない人。木偶坊(でくの坊)などと
呼ばれ、誠に気の毒な存在で土偶に比べて木偶は不遇である。
偶は偶数や配偶者など
対(つい)になること、並ぶことを表し
人の持つ、穏、闇を偶に負わせる依り代のことも在ろうから
偶はむしろ木偶坊のまま抗わず、焼かれ流され祓われる方が
片割れの人にとって、都合がよかったとも解釈できる。
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風のトルソ・15
「こんなお仕事は遣ったことがありませんので・・・」
『いえいえ、遣ったことが無いのと遣れないのは別で
遣って見ないと出来るかどうかは誰にも分かりません。
お引き受け頂ければ、半分は出来たようなものです。』
そう云われると断り切れず「遣って見ます。」と
不安ながら、引き受けることにした。

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男性は深くお辞儀をしてスケッチ画らしいのを渡し
『それでは明日、道具を取り揃えて修理に伺います。』
と云いながら、振り返って言葉を継ぎ足した。
『その件、出来上がる迄どなた様にもくれぐれも内密に。』
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ユミさんは男性客を見送り、やっと緊張が解け
笑顔で振り返ってミミに話しかけたが
ことさらにスタンドをギイギイと軋ませ
『秘密でしょ、秘密。それに油切れの木偶人形に
どんな素敵なお洋服も興味なんてないもの。』
ああ、せっかくのお仕事なのに、こんなだったら
引き受けるんじゃあなかったかな。
開店してからの5年間、ずうっとこれ迄
たった一人の話し相手だったのに。
「明日お出でになって修理をしてくださるわ、きっと。」
ミミは
背を向け押し黙ったまま。
風のトルソ風のトルソ▶16へ続くかも・・・
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風のトルソ・14
それからも何度か窓越しに覗き込んでは
立ち去って行く姿を見かけたが幾日かの後に
意を決したふうで扉を開ける
『ご不快なお願いになるかもしれませんが
お話しだけでも聞いていただけないでしょうか』
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ミミはギシシッとスタンド軋ませながら
振り返って
『ほらね』と呟く
その男性はミミのスタンドの軋みを聞いて

「おや、油が」明日にでも修理を致しましょうかと
勝手に約束を取り付けながら
ポケットから封筒のようなものを取り出した
「何のお願いでしょう」
滅多には男性のお客様のご来店はなく
ユミさんは少し緊張気味に応える
ミミはスタンドの軋む音を悪く云われたようで
ちょっと悲しい気持ちになってしまい
もう一度ギリリッと回って背を向ける

風のトルソ風のトルソ15・新しいこと
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風のトルソ・13
窓から見る街の景色があれば
外から覗き見られている景色もある
すっかり見違えるようになったユミさんのお店は
道行く人たちが物珍しそうに覗いて行くようになった
『見られてる』
「ミミは綺麗だもの」
『いいえ』何時も表の通りを眺めているから
目があった時には恥ずかしくて顔を伏せてしまう
何時もの人たちは次第に顔を覚えてしまい
挨拶までは交わさないけれどお互いに
心の中ではほうっと笑顔になっているのが分かる
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『私とは目が合わないで何時もユミさんを見てて』
「気遅れていらっしゃるのだわ」
男性のお客様は何時だってそうだから
素敵なプレゼントを思いながらも
こんな小さなお店でも扉に手を掛けることさえ
ためらわれ行ったり来たり

風のトルソ風のトルソ14・男性客
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風のトルソ・12
棚で塞がれていた窓は大きく開かれ
街の景色を美術館の絵画のように際立たせ
煤け曇っていた扉の硝子も磨かれて
大きく開かれるようになったから
ミミは何時だって通りを行き交う人の
喜びや哀しみ夢や憧れを見ることができた
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「見られていると思うと落ち着かないわ」
 この店を開いてから懸命に働いて来たけれど
いつの間にか働くことだけに心囚われて
いつしか追いかけていた夢を見失い
お客様に背を向けミミにも背を向けていた
『窓の外から見たら
私たちも絵のように見えるかしら』
「ミミはやっぱり綺麗だもの」
『働いているユミさんの方がもっと素敵』
そんな会話は聞こえてはこないけれど
窓越しに見える二人はフランス映画のように

風のトルソ風のトルソ13・窓の向こう側
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