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杜の舟型録帳/木工芸・童話・小説

風の灯台・2 Lilla
風の灯台
2・Lilla
ずっと忘れることのない名でありながら
こうしてその名を耳にするのは15年振りの事である。
「リラの若いころにそっくりなお前さんに
気易くモリンなんて呼ばれると胸が詰まって・・・」

モリノフは言葉を切り、吹き抜ける懐かしい風を追うように
遥かな空に遠い目線投げた。
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『小さな時からそう聞かされて、やっと逢えたんだもの
だから一番に、モリンと呼ぶように決めていたの。
ねえ、お願いそう呼ばせて。私の中ではあなたは
モリン以外の誰でもないんだもの。』
「弱ったな、良いだろう、好きに呼ぶといい。その代わりに
お前さんのことはイングランド流にライラと呼ばせてもらうよ。」

あの頃、天空を泳ぐ鯨のような飛行船に憧れて
いつか自分も大空を飛んでみたいと思っていたものだ。
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リラと出会ったのは、そんな夢多き遠い昔
のこと。
**************KAZENOTOUDAI************
懐かしい名前◀風の灯台▶3へ続くかも
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毎年風の丘ホールにて開催されている
坂元昭二ギターソロライブと杜の舟のコラボ展
来年は10年目を迎え次回のお題は「風の灯台」
何時の様に仕事をしながら自ら振ったお題を妄想。

「風の灯台」に何の構想もなく、今回のお題「羅天」で
飛行船の挿絵を描いたことからつい飛行船繋がりで
夜間飛行の時に「風の灯台」があればなどと
妄想したのが切っ掛けであった。

来年のコラボ展に向けての妄想進行中・・・

出土研智物語・15
出土研智・15
赤い大地

お絹さんからアフリカンパドックの「色」について
問い合わせがあり、その主産地であるナイジェリアから
カメルーン、ザイールへとインナートリップ。
アフリカ、良いですなあ。』

こんな時には大抵、出土研智氏があらわれるもので
今回もご多分に漏れずアフリカへ同行することになった。
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『いやはや、熱うございますな。本当はこんな処まで来なくても
産土神の私に、趣旨をお訪ね頂ければ済みましたものを。』
「ウブスナガミ?」
『申し上げていませんでしたかね。私くし、モリノフ猫さんの産土神で。
いえいえ、神様と言っても、あなたが風の丘の地に生を受け
そこに棲まえることを森羅万象の中のたった一つに許容し
「此処に居て良いのだと申し示す」と云うだけの役柄でしてね。』
なるほど、だから神とは申し示すものと書くのか
つい願い事を叶えてくれたり、荒ぶり罰を与えたりと
勝手に解釈していたが、全ての判断は己自身にあったのだな。
ご最もなご理解、良いですなあ。』
「これから何と呼ぼう。出土研智(いですなけんぢ)も悪くなかったが
産土神は実に響きの良い名ですねえ。」
『いえいえ、神なんてのは役柄の分ですから、是非ともウブスナで。』
ウブスナは森羅万象のそれぞれの産土たちとの繋がりがあり
アフリカの大地に立つアフリカンパドックとも交流出来るらしい。
『お尋ねのアフリカンパドックの赤い色は、
オーロンという
濃い黄色や橙赤色の色素によるものと考えられていて

マメ科の樹木に多く含まれるイソフラボンの中にサンタルビンと
サンタリンいう成分があり、これを理解し易くお伝えすれば
フラボノイドの化合物であるポリフェノールやアントシアニンなどの
色素がこのアフリカンパドックの赤い色に関係しているようです。
同じマメ科の紫壇、ローズウッドなどの粉末などは
外傷
腫れ物に塗布し止血や治癒などに期待されています。
アフリカの過酷な条件の中「ここに居て良いんだよ。」と云われ
虫や腐朽菌などから身を守るために備えられたものでしょう。』
なるほど、ウブスナも借り物ながら、なかなか博学である。
考えてみれば同じアフリカのブビンガ材もマメ科
南米のパープルハートもマメ科である。
ウブスナは赤い大地の日干し煉瓦で拵えられた日陰から
顔を半分だけを覗かせて話しを続ける。
『モリノフ猫さんのお考えである、赤い大地の鉄分について
確かに紅海からアフリカ大陸を縦に走る大地溝帯は
マントルの上昇流によって地殻深く沈んでいた重い金属
そう、鉄分などが地表に持ち上げられて堆積したもので
紅海の赤い色も、多分にこの土のためでしょう。
水分中に溶け込んだ微細なシリカや酸化第二鉄などは
導管から吸い上げられ導管内に留まり沈着したりして
色素の要因の一つになるとも考えられています。
経年変化により、だんだんに黒ずんでくるのは
酸化第二鉄の酸素が奪われて黒化、つまり赤錆びから
黒錆びへと変化していくのかもしれませんが
これから先は学者の領域でして、産土神は案外と
浪漫智衆人で夢の方に思考が傾いています。』
ウブスナは立て続けに講釈して、すううっと
吸い込まれるように、日干し煉瓦の影の中に消えた。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆IDESUNAKENDIMONOGATARI☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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やまぼうしの夢
藍甕の底を覗いたような
深いふかい藍の空に
二十三夜の月が掛かり
その光は淡い粒子になって
静かに地上に降り注ぎ
やまぼうしは月を見上げ
蒼い燐光を焚くように
ほうほうと燃えながら

ずっと古い昔の夢を見ていた

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それは夜をまたぐ銀河の
小さな雫の
ひと群れだったころの夢
北斗の星に巻かれながら
東の空に昇り西に駆けるのを
繰り返すうちに
地上の小さな水面に映る
夜毎の自分の姿に憧れ
戻ることのない約束で
月の光に紛れて降りてきた
こうして今は地上の星となって
風の丘に立っているけれど
生まれた夜空の恋しさに
空を見上げて咲いている
未だ明け遣らぬ空に啼く
不如帰には
やまぼうしの十字の花は
地上に昴る星の群れに見えて
銀河の雫のひと群れだった頃を
てっぺん駆けたかと問う
遠い夢だと応えずにいれば
不如帰は喉を妬き
寝ても覚めても
てっぺん駆けたか
てっぺん駆けたかと
啼き続けている。

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出土研智物語14・カンパネルラ
出土研智物語・14
カンパネルラ

タイトルのカンパネルラには何の意味もなく
己の願望として、こんな寒い日にはシゴトなんぞ
放っておいて、一日惰眠を貪っていたいとの
心の警鐘だとでも受け取っていただきたい。
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『寒波が居座って降り続きますなあ。こんな日には
温かい布団に包まって寝るのが一番でしょうが
時折りの風に、梢からどおっと吹き落ちる雪も
また見事なもので心が躍ります。』
確かに
「寒波寝るら」が、体力は消耗しないし
暖房もいらぬから経済には一番だろうことは
分かっているけれど、仕事を放るのは心に良くない。
だからやっぱり、ひとしきり雪の中を散策して
工房に籠る杜の舟であった・・・

☆☆☆☆☆☆☆☆☆IDESUNAKENDIMONOGATARI☆☆☆☆☆☆☆☆☆
虎落笛出土研智物語15・赤い大地

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器が小さい
「器は作りません。」
随分以前には器も作ってはいたのだけれど
そのころ、某器作家氏から冗談交じりに
『人の領域まで手を出されると死活問題になります。』と
言われたことがある。なに
、杜の舟の仕事なんて
不可侵条約を結ぶほど大した量も技量もないのだから
その冗談を真に受けて手を止める程のこともなかったのだけれど
まだ青かったのもありポイと器の製作を投げてしまっていた。
この数年、器のご依頼が続き「器は作りません。」と
断り続けてはいたけれど、
他にやらなければならない事や
やってみたいことも沢山あり、それ以上手を広げていたら
どれもこれも中途半端になってしまう。
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器の小さい杜の舟は、ふらりと誘惑に負けて
小さな器を削ってみた。
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やっぱり我慢するのもストレスである。
木の塊が次第に形を成して見え始めると
ふふふふ~ん。と心が笑い、モヤモヤが
霧のように消えるのが解るのである。

すっかり鈍っている腕を鍛えて積年のご注文
「ヤーンボウル」や「コロン盃」「パンザラ」など
作る時間が出来ると良いのだけれど・・・
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どうせ、きょう一日は雪の中
「少し木材や工具など買い足して
器製作の準備でもしてみようか。」と
20年余りの呪縛の紐が解け始めている。

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