杜の舟型録帳/木工芸・童話・小説

出土研智物語10・鍍金のドングリ
ドングリという部類からすると少しばかり成りは違うけれど
同じ堅果類であるから樫の実だってドングリの仲間である。
落ちるおちる、ほんのソヨとした吐息のような風にさえ
樫の実はバラバラツ降り落ちる。
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落ちたばかりの樫の実は、まるで鍍金したように
ピカピカ光り輝くので草っ原の中からでも見つけやすいけれど
暫く曝されているうちに光を失って同化してしまうのである。
今夜はこいつらを焙ってビールのつまみにしてやろう
遥か古には甘樫丘に居を構えた蘇我入鹿なんぞも
これを濁酒のあてにして夢を語っていたのであろうと
思いをはせているところに貴奴の気配・・・
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『いやあ、良いですなあ。賢治さんもこの様を見て
どんぐりと山猫なんて書きたくなったのでしょう。』
突然現れた見知った人と『静まれ、しずまれ~。』などと
ついつい盛り上がってピカピカの鍍金仕立ての樫も
そうでない樫の実もポケット一杯に捩じ込むのであった。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆IDESUNAKENDIMONOGATARI☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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門下生6・ひらがなの
門下生・6
ひらがなの

穏やかな午後の日差しが差し込み
「今月末には。」で約束の針山台や木枠の旋盤作業を
気分よくやっているところに、彫丸堂がひょろりと
彫り上がった印鑑を小脇に抱えて現れる。
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到来物の紅茶で午後のティータイム。
テーブルいっぱいに広げた印鑑をみて
前回との出来栄えの違いに「ほほう。」と思わず声がでた。
「彫丸堂などと名乗りを上げたとたんに
腕が上がってきたな。」
『はあ、数をこなせと言われていましたから・・・』
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2週間ばかりでグンと出来が良くなって
微細な修正を入れるものは数本にとどまり
あと二巡も彫れば因縁を付けるところもなくなりそうで
それもまた寂しいものであるが。
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漢字の彫も少しづつ上達してはきたが
まだまだデザインのためのデザインに陥っているものもある。

しかし細かい指摘はせずに彫丸堂らしい感覚を期待しながら
相変わらずセンスの悪いやつもあるから、せいぜい精進して
感性を磨くんだな。」などと曖昧に濁しながらも
彫に掛ける時間が随分と短縮されてきたのは嬉しい。
この調子だと正月までには、あと100本ばかりの印材を
製作しなければ足りなくなりそうである。
✿✿✿✿✿✿✿MONKASEI✿✿✿✿✿✿
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出土研智物語8・際物キワノ
Rさんの住んでいる街は台風の通り道だったから
どうなったろうと心配だったのだけれど

『台風の被害は花梨の実が落ちた程度』に
庭先を幾つもの果実がころころと転がる様を想像しながら
「ふふ、よかった。」と胸を撫で下ろす。
風の丘では温州蜜柑やグァバの実がころころ転がり
彼岸峠辺りにはアケビや柴栗、ムカゴが落ちている。
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庭先で朱に熟れた山法師などは
珊瑚玉を解いたように降り落ちて樹下を埋めている。
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『こりゃあ、見事に良いですなあ~
いつの間にやら見知ってしまった、その人
食べられそうなものを嗅ぎ分けるよういして
ポケットにギュウギュウとねぢ込んでゆく。
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『痛たたた、こればかりはイケませんなあ。』
その手元を覗き込むと、
妙なというか怪しげな
拳ほどもある棘とげの果実が転がっている。
「植えた覚えもないのに・・・」
棘苦瓜です、いやあ、やっぱりこれは良いですなあ。』
「ああ、思い出した。」昨年だったかスーパーの店頭に
ほんの一時期並んでいた際物キワノが売れそびれ
赤札エポレットを貼られていたのを買った記憶がある。
その種からの天道生えで、知らずの間に実をつけたらしいが
さてさて、どんな味だったかしらん・・・
☆☆☆☆☆☆☆☆☆IDESUNAKENDIMONOGATARI☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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野良犬Jones・5 言葉の檻
偽る言葉は屈折されて
Prism〔プリズム〕のように
そのまま自分に跳ね返える

月の出ぬ夜の唄言葉
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偽る言葉に閉じ込められて
Prison〔プリズン〕
そうさ、俺は言葉の檻の中
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凍てつく言葉を涙で溶かし素直な心を伝えたい。
繋がれていたのは俺じゃない、繋いでいたのは俺さ
毎朝決まった時間に散歩をして、決まった時間に餌をくれて
俺が病気になった時には、ずっとずっと寝ないで看病してくれた。
モリン逢いたいよ。
もう一度繋いでくれ、心と心。
★★★★★★★★★NORAJONES★★★★★★★★★★
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門下生5・彫丸堂
あれから幾度となく現れては
打たれて帰るのを繰り返していたが
この門下生もようやく見極めが付き始め
工房名を「彫丸堂」と決めてきた。
新たなプレッシャーをかけてやろうと思いつき
正月の「春の夢ひらき」への出展を命令。
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命令なんて、こいつは良い響きである。
お客様からご注文を頂いたり購入頂くとなると
審議も厳しくなり、彫ってきたハンコに辛辣に批判をする。
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「門下生も工房名を挙げたからには、独立した作家の端くれだ
俺から駄目出しはやらんが、自分で納得のいかないのは
全部持って来い、削り飛ばしてやる。」
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そう言ったからには仕方がない。
有るはあるは。の駄作や、彫り損ないを
延々面だしさせられる羽目になった。
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『序でに丸ハンコも磨いて欲しいのですが・・・』と
ぶった切っただけの歪な黒檀の丸棒を持ってきたので
快くではないが、これも引き受けることにした。
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今週末には現れる約束だから、その時には
「物つくりは人生と同じで練習なんてものはないんだ
何時も本気でかかれ!」とプレッシャーをかけて
面だしなんてチマチマ延々の仕事から逃れたいものだ。

✿✿✿✿✿✿✿MONKASEI✿✿✿✿✿✿
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