杜の舟型録帳/木工芸・童話・小説

ひと房の葡萄に
以前にも書いたことがあるが
工房の前に葡萄を植えたきっかけは
有島武郎の「ひと房の葡萄」に出てくる
窓辺の葡萄を摘む景色を再現したくて
山葡萄とデラウエアを植えているのである。
大抵、旧のお盆のころには色づいて
毎年、初成りを神棚に供えているから
収穫時期を忘れることもない。
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デラは未だ翡翠の如き夢の色
朝の光り透かして目覚めたばかり
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空に広げた三烈色葉も
スカッシュのごと清しき匂い
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山葡萄の小房ときたら
生まれた時から葡萄色
木枯れてまでも葡萄色
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密々と生いて茂れる色葉さえ
生まれた時から照り葉色
木枯れてまでも照り葉色

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三等歌・其の二十六
三等歌・其の二十六
こぶし
頑なに 握り締められていた拳も 光に解けてゆく

【かたくなに にぎりしめられていたこぶしも ひかりにとけてゆく】
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幣辛夷【しでこぶし】
モクレン科の花では一番最初に咲く
辛夷の中でも花弁の数が多い様を
神主の御幣(ごへい)に見立て
幣のような辛夷とあてた呼び名である。
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今月の初めだったかに橈骨神経麻痺を発症して
右手がクンネリと握り締められたままになり
随分
不安と難儀な思いをしていたが
薄紙一枚ずつの例えどおりに解けてゆき
まだ緻密な作業は出来ないながらも
日常、困るほどでもなくなってきた。


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屋船久久能智縁木
昨年、某写真家から笏を頼まれていて
多分半年ばかり寝かせていただろう
粗加工をしていた材から抜粋して
先日から製作に掛かっていた。
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カーリーメープル材に惚れこまれての
御注文であったけれど
屋船久久能智神の御利益を賜るべく
御神木蘊蓄縁起の材を選んで見た。
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京築桧【けいちくひのき】
京築は福岡県の行橋市、豊前市、京都郡、築上郡の
2市5町からなる地域を指しその地域の桧材を
京築桧としてブランド化に力を入れているが
この地域の桧を「蘊蓄縁木」に選んだのには訳がある。
京都(みやこ)郡みやこ町国作字惣社地区には
福岡県内では
知る限り、ただ一ヵ所
木の神様である「屋船久久能智神」を祀る

惣社八幡神社がある

奇樹【くすしき】
樟の木は古くから神社境内に植えられ
各地域の神社で
も御神木とされる巨木を見受ける。
あえて樟に充てた「奇しき」とは
人知では計り知れない不可思議なことがらを表す。
神宿椨【かみやどるたぶ】
椨の木は神の宿る木と伝えられこの漢字を形作る
木偏に府は大宰府など府と同じくして
人や物、また神の集まり宿る処との意である。
屋久杉【やくすぎ】
鹿児島県大隅諸島に属する屋久島には
樹齢千年以上の杉の自然林があり
世界自然遺産にも指定されている。
この屋久島の名の由来が気になるところで
木の神「屋船久久能智神」の「屋と久」が
ぴたりと符合するから面白い。
楓洸樹【かえでこうじゅ】
これのみ北米産のメープル
材であるが
メープルシロップを採る
カエデ科の木である。
そんな中でも希少なカーリーメープルと呼ばれる
独特の虎斑縮杢の部分を使用している。
この縮杢理との兼ね合いで本来の年輪木目も
褶曲されて光沢があることから「洸」の字を充て

水湧き立ち光る姿を豊穣に結び付け、また留まることなく
知恵の湧き出でる様に見立てたものである。
また、楓の木と風、洸の水と光は四大要素を
表しているようで、これまた面白い。

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三種の木守3・木守随想
木守
「木守」と書いて「きまもり」と読む。

「掌に納まる、お守りのようなもの」を
西日本工業大のN教授から依頼されて
先ずは製作概念を名にしてみたものである。
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元来、木守とは晩秋の柿の梢に唯一つ残された実のことで
行く末の豊穣を祈って山の神に捧げられたもので
ある。
千利休が陶工、楽長次郎に幾つかの茶碗を造らせ
それより七個選び抜き、六人の門弟達にそれぞれ望みの物を取らせ
残る一碗が雅趣捨て難く、利休はこれを手に取り「木守」と銘したと云う。
まさしく枯淡を愛でる千利休の侘びの心を偲ばせる。

柿の実の獲り残されたかに見える最後の一個も
利休の門弟たちに選ばれなかった残りの一個も
木守のために選ばれた一個であると考えれば面白い。

***************SANSYNOKIMAMORI**************
お守りのような三種の木守4・たまのこの続き
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薄葉紙
薄葉紙
針山台を発送するときに一個ずつ薄葉紙で包む。
その薄葉紙のことを、ずっと「うすばし」と呼んでいたが
エムさんから『うすようし、じゃないんですか?』と言われ
「うすようし」では湯桶読みだから「うすばし」だろうと
反論しかけたが訓読みで通すなら「うすばがみ」
音読みなら「はくようし」になるので反論せずにいた。
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きょう発送予定の針山台を包みながら、薄葉紙のことが
どうにも気になるので調べてみたら思惑が外れて
薄葉紙【うすようし】と有った。
ふ~ん、数十年「うすばし」で通してきた自分としては
何だか納得がいかないが業界では、そうなのだ。
薄っぺらくて、ちょっとでも乱暴に扱うと破れてしまうような
儚い感じが、薄羽蜉蝣(うすばかげろう)のようだと
イメージを重ねていたものだから「うすようし」が
未だしっくりこないでいる。
余談ながら子供の頃には薄羽蜉蝣も
「薄馬鹿下朗」などと宛てて笑っていたことがあるから
言の葉の力はやっぱり面白い。

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0000morinof00000000000 福岡県筑豊の小高い丘の上に棲息工房「杜の舟」を生業としながら小説・児童文学などを執筆

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