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杜の舟型録帳/木工芸・童話・小説

風の灯台3・Glen
風の灯台
3・Glen
『遠い昔の話しじゃないから。母さんは今でもずっと
モリンのために、あの風の灯台を守っているわ。』
「あれはグレンが還る場所を見失わないために
建てたものだ。」
そうあの頃、飛行船乗りのグレンは企業の広告を撒く仕事を
引き受けていたが、そう大した実入りもなく、稼いだ金は
もっと多くの広告撒きをこなせるように、より速くより遠くまで
飛べるように
飛行船の改造費や燃料費と瓦斯代に費やされていた。
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「あの風の灯台は、そんなグレンが明るい間に飛べるだけ飛んで
戻るのはすっかり夜になり、最近は夜中ばかりの飛行だから
係留地への道案内を作ってくれと
リラから頼まれたものだ。」
『母さんに何時も聞かされたわ。でも、あの日飛び立ったまま
父さんは二度と戻ってこない。』
「だから、アジビラにだけは手を出すなと止めたんだ。」
長引く隣国との争いに民衆も経済も疲弊して
空中撒配の宣伝広告を打てる企業も次第に少なくなり
リラと結婚してライラが生まればかりの頃には
飛べない日も多くなり生活が成り立たなくなって
いつしか軍部に抵抗する若者たちと係わるようになり
夜間に扇動ビラを撒く仕事を引き受け、代わりに僅かな
金と食料を手に入れていた。あの日も
夜間密かに
扇動ビラを積み込んでアフリカの連邦国に向かい
そのまま戻ることはなかった。

**************KAZENOTOUDAI************
懐かしい名前風の灯台▶4へ続くかも
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毎年風の丘ホールにて開催されている
坂元昭二ギターソロライブと杜の舟のコラボ展も

来年は10年目を迎え、次回のお題は「風の灯台」。
「風の灯台」に何の構想もなく、前回のお題「羅天」で
飛行船の挿絵を描いたことからつい飛行船繋がりで
夜間飛行の時に「風の灯台」があればなどと
妄想したのが切っ掛けであった。

何時もの様に仕事をしながら自ら振ったお題を妄想し
時系列を無視して、思いつくエピソードを断片的に
書き綴りながら、辻褄合わせも後回しで

来年のコラボ展に向けての妄想進行中だけど・・・

風の灯台・1 懐かしい名前
風の灯台
1・懐かしい名前
細々とした稼ぎは本業の木工屋でやっているが
これと言って他に趣味らしいものもないので
年中工房に籠って木工作業ばかりをやっている。
此処は小高い丘の上にあるので風の駆けあがりに乗って
丘の下からふいと鳥たちが目の前をかすめて上がってくる。
迷走台風の余波で気層が乱れて幾重にも重なる雲が
てんでばらばらに向きを変えて東や南へ流れて
一等下層の千切れ雲などは草臥れた古綿の様に

ほろほろ
解れながら深い杜に吸い込まれる。
近頃妙に空を近く感じるのはそんな景色でもなく
銅色に窶れて山の端に沈む月食や、
南天高くに明々と
灯された
燭台の様な火星の大接近のせいでもなかろうが
朝な夕なに空を見上げるたび、空への熱い想いが蘇り

また風と光の中に空泳ぐ魚の様に身を任せてみたくなった。
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長く封じていた小さな飛行船を整備して
大空へ
目的もなく。そう、若いころはそれで良かったのだろう。
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時を重ねるごとに分別ばかりが身について
取り合えず「目的もなくという目的」を見つけ出し
風と光を読み
ながら十数年ぶりに時空を泳いでみた。
飛行船と云ったって気球に古いエンジンをくっつけた程度で
フライトのたびに整備や修理が欠かせない
旧型の古い船である。
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『ねえ、モリン。』

籠に乗っかって整備をしているところに突然背中越しに声を掛けられ
振り返れば十四か十五ばかりの見知らぬ女の子が立っている。
「何だいきなり、それに俺の事をモリンなんて呼ぶのはよせ。」

もう長く耳にしない古い名で呼ばれたことに驚きながら
「俺はモリノフだ。」何の用だと問う前に彼女は一歩近づいて
『私はリラ。母さんはあなたの事を話す時いつもモリンと言うわ。』
「母さんって、誰だ。」
『母さんはLがふたつ
Lilla。わたしはLila。父さんが付けてくれたの。』
「Lilla・・・」
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毎年風の丘ホールにて開催されている
坂元昭二ギターソロライブと杜の舟のコラボ展
来年は10年目を迎え次回のお題は「風の灯台」
何時の様に仕事をしながら自ら振ったお題を妄想。

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「風の灯台」に何の構想もなく、今回のお題「羅天」で
飛行船の挿絵を描いたことからつい飛行船繋がりで
夜間飛行の時に「風の灯台」があればなどと
妄想したのが切っ掛けであった。

来年のコラボ展に向けての妄想進行中・・・

**************KAZENOTOUDAI************

懐かしい名前◀風の灯台2・Lilla
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夢病譚・6 眼鏡の向こうに
夢病譚・6
眼鏡の向こうに

もう使われなくなって随分になる作業机に手を触れると
微かなマシン油と埃の匂いがして胸が熱くなり
記憶の糸に誘われるように抽斗の引き手に触れてみる。
あの頃のこの
真鍮製の引き手は、触れていたところだけは
何時も金色に眩しく光っていたものだけれど
今では錆色の空気に同化したように光を失ってしまった。
その使い込まれていた抽斗はそっと手を掛けただけで
奥から推されて滑るように引き出され
窓辺から差し込む午後の陽射しにキラと反射する。
「眼鏡・・・。」
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そっと取り出して作業机に置けば遠い記憶が甦り
この眼鏡を通して何時も同じものを見てきたような
「旅先の風景も、風も光も花も鳥達も、そうして子供達の笑顔
泣いて笑って
ずっと一緒に暮らしてきた街の灯り。
全部二人で見てきたものばかり。」
『今も覚えているよ。』
静かに眼鏡が笑った様に応える。
『でも、何時も傍にあって、君だけが見ていなかったものもあるよ。』
「・・・なあに?」
『君の笑顔。今も見ている、忘れないよ。』
「ふふふ、ずっとあなたの眼鏡に映っていたわ
そして眼鏡の向こうに、貴方の知らない優しい笑顔も。」
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古い眼鏡はそれまでに見てきた風景や時を
記憶しているのだと云うから
時計屋の娘、お絹さんのレジン作品のための
眼鏡の木枠を手掛けながら
ふわりふわりと妄想回廊を巡ってみた。

☽☽☽☽☽☽☽☽☽☽☽☽YUMEBYOUTAN☽☽☽☽☽☽☽☽☽☽☽☽
肋骨夢病譚▶夢の続き

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出土研智11・君の名は、
『いやあ、良いもの見つけましたなあ。』
見知った見知らぬ人などと謂う表現があるのかどうか
幸運の四葉のクローバーを見つけてホコホコと喜んでいる処へ
ふわりと突然現れる。
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「あなたは一体?」
『ああ、私ですか。名乗っていなければ失敬でしたね
私しの仮り名はイデスナケンヂ、漢字で書くと出土研智です。』
「出土さん、道理で話しの端々に良イデスナアと謂われる。」
『まあ、それもありますが真の名は別にあります。
そんなことより四葉のクローバーは良いですなあ。』
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『気づかれましたか、幸せは
土から生まれ土に還る
そんな風に見立てると実に有難いものです。この世界なんて
理不尽と不条理で成り立っていて、その複雑な組み合わせの中の
奇跡によって幸せが生まれるのだから有難いのです。』
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聞いていると何だか条理のようだけれども不条理だと
出土研智氏を振り返ったら、四葉のクローバーを
チョコリと取り上げて『人様を幸せにするためには
まず自分が幸せでなくてはいけませんから・・・」
・・・この人が誰か、仮り名だけは分かった気もするけれど
「真の名」って何だろう、そして何処から来たのだろう。

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虎落笛出土研智物語12・てんぷら野郎
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出土研智物語9・郁子
強い木枯らしに吹き飛ばされて
里山の落葉雑木林も明るくなり
葉隠の郁子(むべ)が満面の笑顔を覗かせてきたので
仕事を放ったらかして収穫

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『好いですなあ。』
すっかり見知った人ではあるが
こんな時には、いつの間にか現れ
労せずして郁子を横取りしてしまうのである。
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『散策しながら種を辺り構わず吹き飛ばすなんて
じつに愉快痛快ですなあ。』
あまり辺りかまわず吹き飛ばすと来年にはあちこちから芽が出て
草刈りが大変になるので、後の残りは旋盤作業をしながら
もごもご食べて足元にプイプイと種を蒔き散らす。
・・・知らない人がこの惨状を見たらゴキブリの卵に見えるかも。
:::
郁子の「郁」は香しいとか香りの強いことを表すのだそうだが
鼻を近づけてみてもそんなに強烈な匂いはなく
味はアケビがさらりと和三盆なら郁子は黒糖のように
コクがある感じかな。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆IDESUNAKENDIMONOGATARI☆☆☆☆☆☆☆☆☆
虎落笛出土研智物語10・鍍金のどんぐり
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