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杜の舟型録帳/木工芸・童話・小説

風のトルソ・4
『それは綺麗なドレスも着せてもらったわ』
風のトルソのミミはくるくると回りながら
『ウエディングドレスを着た時は夢心地』
と明るく唄うように云うから
まるでその姿が見えるよう
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『でもね』そんな綺麗なドレスも
全部自分のためではなくて
お客様に収められた後は
また寒い工房にぽつり
『何だか心まで冷え切って』
幸せの分だけ寂しさが増してくる
夢心地の幸せを感じたのは私独り
この寂しさに沈むのも私独り
ひとり抱え込む暖かな膝もなく
腕もないミミのその姿に
幸せって何だろう
寂しさって何だろうと
切なく思うモリノフネコであった

風のトルソ
風のトルソ5・羽織りて
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風のトルソ・3
あれだけ強かった風は次の夜も凪いだまま
風のトルソは工房の傍らに佇み風を待つ
「今夜も吹かないね」
『私の名はミミそう呼ばれていたから』
ずっと下町のお針子ユミさんの工房で
その背中を見ながら過ごして来た
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布が妬けるから窓はなく
滅多に人は訪ねてこないから
入り口の扉は半分荷物で塞がれていて

道行く人も景色も見えず
嫌な事ばかりはでなかったけれど
外の世界が見たくて風に頼んで
当てもなく飛ばされてきたのだと云う
「ずっと居てもいいんだよ」
このまま風が吹かなければいいと
願うモリノフネコであった
風のトルソ風のトルソ4・ウエディングドレス
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イツカドコカデ・2
あの森の轍は何処へ続く道だろう
午後の陽射しも傾き始めたころ
来る当てのないバスを待つように
木立の脇にぽつんと佇む
その娘
のベレー帽には
小さな小鳥が留まっていたような

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窮屈なシトロエンの後部座席に沈みながら
窓越しに振り返ったのは覚えているが
あれはブルゴーニュの葡萄園の帰りだったろうか
その時ベレーの娘の遠い眼差しの向こうには
きっと明日が見えていたに違いない

何のことはない、土曜日の午後
とぎれとぎれのご来客の間
妄想の旅を遊んでいる・・・

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ナルニハ物語・絵語り2
川瀬翠の絵語り・2
左利きではないないのに

だから、
他の人と違和感のないように振舞いながらも
出来るだけ目が合わないように気を付けている。
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けれどもコーヒーを淹れる時に右手で入れると
目加減が定まらずに溢れさせてしまうことがある。
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だからついつい左利きでもないのに左手で淹れてしまい
それが視線を集めて違和感を感じられているのでは
ないかと思うと、涙が出るほど悲しくなるのである・・・。
*******
ストーリーに緩く沿いながらも、服装やタッチは微妙に変わるが
これもひとえに絵力と表現力の鍛錬のため、許したまえ

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プリオシンの水際にて
積年の埃、鋸屑に埋もれて、ややもすると
積み上げた自分でさえ存在を忘れてしまいそうな
門外不出、秘蔵のウオルナット材を掻き分け引き出す。
まあ、秘蔵の材と云っても、そう、大層に崇めたてて
仕舞い込んでいたわけでもなく、ただ工房の隅に
ぞんざいに積み上げていただけであるが
故在って日の目を見ることになったのだが
製材していて奇妙なカタチの節目を見つけ手が止まる。
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プリオシン海岸から発掘される
バタクルミの化石は
きっと、こんなだったのではなかろうか。
ちょうどそれは岩石に貫入した割れ目の中に
胡桃が落ち込んで、そのまま化石したふうなのである。
しかし見れば見るほど、この節目は本物の胡桃のようだ。
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余りの造形の奇態さに製材面を磨いてみると
それは入り皮に巻き込まれて混在する
胡桃の殻を断面したそのものであった。
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製材中のこれまでに、鉄条網の痕跡や古釘
散弾銃の鉛玉を挽き当ててことはあるが
胡桃などの有機体を挽き当てたのは初めてである。
実は来年の干支のネズミは大黒様のお使いだからと
黒っぽい材のウオルナットを使う予定でいたが
どうしてもその必然性を見いだせず心が愚図っていた。
そんな折に不思議な縁で、黒鉄糯(クロガネモチ)が
手に入り「苦労せず金持ち」に傾いてしまっているが
視覚的にウオルナットは胡桃だと伝えられると
胡桃を「包み」と当て包容力や守護を表し
蓄え、また貯えと話しを膨らませるなら
黒鉄糯で金運を得、ウオルナットで貯えて頂く
これは、
鼠を対でご購入頂くしかなかろう。
銀河鉄道の夜のプリオシン海岸の水際に佇み
幻想風景に浸っていた積りが、何時の間にか
取らぬ鼠の皮算用に傾ぐ杜の舟であった・・・・

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